繊維がキメ細かでなめらかな革、カーフスキン。数ある牛革の中で最も上質な素材です。「アリュール」シリーズに使用しているのは、そのカーフスキンを毛の風合いを残したまま仕上げた“ヘアカーフ”。すべての皮革製品の中でも希少価値が高く、非常に手に入りにくい革です。
淡色は染色の際に色ムラになりやすいことから敬遠されがちですが、手間をかけて何度も脱色とカラーリングを施すことで、微妙な色合いも再現可能に。ラグジュアリーな素材感はそのままに、上品なニュアンスカラーでエーテルらしさをプラス。素材・色・手触り、どこを取っても素晴らしく贅沢な、とっておきのヘアカーフに仕上がりました。

クラシカルながま口の愛らしいフォルム、パチンと気持ちよく開く留め具、日本女性の手のひらにフィットするサイズ感・・どんなデティールにも、女性デザイナーならではのこだわりが詰めこみました。また、お財布を扱うシーンは人に見られていることが多いもの。チャックのない小銭入れを採用することで、スムーズで美しい仕草を可能にしました。

ものづくりの精神は細部に宿ります。例えば、コバ処理。「コバ」とは革の裁断面のこと。革の切り口の毛羽立っている部分を丁寧に磨いて繊維を締め、強度を高めるとともにコバの表面を美しく整えます。 下塗り、本塗り、仕上げ塗りと何度も塗り重ねていく地道な作業ですが、実は作品の仕上がりに大きく影響する大切な工程。通常はやや厚みのある革に施されるこの作業を、エーテルの場合、わずか１ｍｍ幅のヘアカーフにもコバ塗りをしています。そうすることで、革本来の美しさを最大限引き出すとともに、お財布をできるだけ長く使って頂ける工夫を凝らしているのです。