1番メジャーな革だけど、意外と知られていない牛革の事実
牛革の特徴
レザーアイテム(革製品)の多くは、牛革で作られているといっても過言ではありません。牛革は世界で最も一般的な原皮といわれ、お財布やバッグ、靴など幅広い用途で使われています。その理由は、耐久性があって丈夫なこと、加工がしやすくバリエーションが豊富なこと、そして乳牛や肉牛として飼育されるため安定した供給量があるからです。
高品質な牛革とは?
牛革は北米産ものが最も多く、次いでオーストラリア、カナダとなっています。日本国内で生産された牛革は「地生(ジナマ)」と呼ばれ、国産の牛革は管理状態がよいことから、「品質が高い革」として人気があります。姫路レザーや栃木レザーが有名です。
牛革の種類とランク
牛革は若ければ若いほど高価となります。そんな牛革に、めったにお目にかかれない種類があります。皮をとる牛の年齢やオス・メスの違いなどにより様々な呼び名があり、それぞれの持つ性質が異なっています。主に、レザー表面の風合いが異なり、価格に大きな違いが生まれます。牛の年齢やオス・メスの違いなどでさらに細かく分類されますのでご紹介していきます。
最上級の牛革『カーフスキン』
カーフスキンとは、生後6ヶ月以内の子牛の革。牛革の中でももっとも上質な素材とされています。大人の牛の革と比較してキメが細かく柔らかく、軽い。そして、ハラコよりも丈夫。すべての皮革素材の中でも特に上質で希少価値が高く、非常に手に入りにくい革です。世界の名だたるハイブランドでも使用され、高価格で取り引きされています。
カーフスキンよりも希少価値が高い『ヘアカーフ』
カーフレザーの中でも、生後6ヶ月以内の子牛の革を毛の風合いを残したまま仕上げたものを「ヘアカーフ」といいます。こちらはさらに流通量が少なく、最も希少価値が高い、珍しいレザーです。しっとりとなめらかな毛並みは、いつまでも撫でていたくなるほどの心地よさ。ちなみに混同されがちですが、ハラコとヘアカーフは別物です。ヘアカーフにはチクチクとした硬い毛はなく「最高品質」と呼ぶにふさわしい気品あふれるレザーです。
短い毛つきの希少な『ハラコ』
ハラコとは、胎児~生後間もないほどの子牛の革。短い毛のついた素材で独自の風合いがあります。出産前に死亡した牝牛のお腹にいた腹子や、死産した子牛から採られるため、ほどんど市場に出回ることはありません。ハラコは高級素材であり、通常販売されているものはポニーなどをハラコと称して販売しているケースがほとんどです。
美しく高級な『キップスキン』
キップスキンとは、生後1年以内の子牛の革。カーフスキンに次いで上質な皮とされています。カーフには及びませんが、なめらかで美しいレザーです。革自体のしなやかさもあり、手にしっくりとなじみやすい特徴があります。また、カーフよりも供給量が安定しているためため、高級ブランドで用いられやすい革です。
一般的な牛革といえば『ステアハイド』
生後2年を経過したオス牛の革。生後3ヶ月~6ヶ月の間に去勢されており、去勢されていないオス牛の革(ブルハイド)と比較して革質に柔らかさがあります。厚みが均等なため、革小物や革財布、革バッグなど、様々な用途に使用することができます。主に食用として生育されているため供給が安定しており、牛革の中で最も一般的に使用されます。
丈夫で柔らかい『カウハイド』
「カウ」は成長した雌牛を意味します。カウハイドとは、生後2年を経過し、出産を経験したメスの牛の革。皮の厚さはオス牛ほどなく、やや柔らかさをもっています。出産を経験しているため、お腹の繊維密度が荒くなっています。子牛の革よりは強く、成牛のオス革よりは薄いので、両者の中間的な役割で使われています。
ワイルドで丈夫な『ブルハイド』
「ブル」は成長した雄牛を意味します。ブルハイドとは、生後2年を経過し、去勢されていないオス牛の革。牛革の中でももっとも固く丈夫である一方、柔らかさはありませんので汎用性はありません。シボが大きいのも特徴的です。去勢されていない牛は、オス同士で決闘を繰り返すことが多く、傷付いていることが多いため、ワイルドな革製品の加工に向いています。
お手入れ簡単、発色の良い『スムースレザー』
牛革のスムースレザーは、カラーリングの方法次第で透明感のある仕上がりになります。セミグロス仕上げにすることで、透明感と安定した発色の両方が実現します。スムースレザーはすれ傷などに強くお手入れも簡単なので、日常的に使うお財布やバッグにぴったりのレザーです。
多様な加工に使用される『スプリットレザー』
スプリットレザーとは、加工前の牛革の層を2枚に分けたとき、一般的に言われる「本革」となる層の下層部分の革(床革)を加工した革のことを指します。床革は強度がないので、樹脂やポリウレタンを使用して強度を高めます。スプリットレザーは床革を加工した革なので、合成皮革(合皮)ではありません。スプリットレザーならではの、きれいな加工をした革製品を紹介します。
エーテルオリジナル押し花レザー
本物の花を牛革にとじこめた、エーテルオリジナルの「押し花レザー」。品質のいい押し花を見つけるところから始まり、熱と圧力をかけても色が枯れない花の研究。どのようにして花を革に固定するのか、上手くいくまで挑戦する日々。そうしてやっとできた、押し花の革。本物の花を使っているため、ひとつひとつの個体差があり、二つと同じものは存在しません。
牛革の硬さと柔らかさ
牛革は、若ければ若いほど柔らかいのが特徴です。「カーフスキン」に代表されるように、若い牛はきめ細やかでスムーズな手触りです。その逆に、歳をとるほどに硬くなります。特に去勢していないオス牛の「ブルハイド」は非常に硬さがあります。メリットは、とても丈夫で耐久性があることです。また、採れる部位や加工方法によっても質感が大きく異なるので、製品によって適したレザーが採用されています。
エーテルの牛革は、柔らかくて軽い
繊維がとてもキメ細かくやわらかな革である、カーフ。加工を施さなくても薄くなめらかな触り心地は「最上質のレザー」といわれ、市場ではめったに見かけることがありません。そして、そのカーフの中でもさらに希少価値が高いのが「ヘアカーフ」。カーフのしっとりと滑らかな肌に、柔らかくて艶やかな毛並みを残した最高品質のレザーです。エーテルの「アリュール」「ロゼ」シリーズは、このヘアカーフで作られています。
このヘアカーフを生み出しているのは、数あるタンナーの中でも名門とされるイタリアの「abip社」。1940年の創業以来、世界の名だたるトップブランドも同社のヘアカーフを使用した革小物を発表しており、オートクチュール部門の重要な役割を担っています。上質な革と高度ななめし技術、最先端のセンスによって生み出されるヘアカーフは、まさに「一流」と呼ばれるに相応しい品質です。
一度このヘアカーフにふれると、ずっと触っていたくなるような肌触り。なめらかな毛並みが作り出す艶。この柔らかい革の魅力を活かしてキーケースやお財布、バッグをお作りしました。大人の女性が使うにふさわしいラグジュアリーな革製品。きっと、手にしたときにその上質感を感じていただけるはずです。
牛革のお手入れ方法
革は人肌と同じ。手をかけてあげることで、いきいきします。お気に入りのレザーアイテムをより長く、革の風合いを楽しみながら付き合っていきたいあなたへ。厳選の Collonil(コロニル)やpedag(ペダック)のレザーケア用品とお手入れ方法を動画付きでご紹介します。
ヘアカーフやハラコのお手入れ
まずはブラッシングでほこりを落とし、次に専用の防水スプレーを20センチほど離して噴射します。最後の仕上げとして、乾いた後にブラシで毛並みを整えましょう。
スムースレザーのお手入れ
スムースレザーとは、革の表面が平らでなめらかなレザーのことです。まずはブラッシングでほこりを落とし、次に保湿クリームをクロスに取り、まんべんなく散布します。最後の仕上げとして、乾かした後に乾拭きをすると艶がよみがえります。
マーガレットの型押しレザー財布
まとめ
一番メジャーな革だけど、意外と知られていない牛革についておわかりになりましたでしょうか。
牛革の特徴は、耐久性があって丈夫なこと、加工がしやすくバリエーションが豊富なこと、安定した供給量があること。だからお財布やバッグ、シューズやジャケットなど、幅広く利用されているんですね。
また、牛革の種類は主に6種類あり、最も上質なのは「カーフスキン」、中でも「ヘアカーフ」が希少で高級。次いで「キップスキン」も高級ですね。一般的な牛革といえば「ステアハイド」でしたね。
お手入れもしっかり行い、愛用のレザーグッズを長く愛していきましょう。