みなさん、こんにちは。
立春を過ぎ暖かな日が増えてきましたね。もうすぐ、雪が雨へと変わる“雨水(うすい)”という季節に入ります。実際には、まだまだ雪が降る地域もありますが、暦の上では雪解けを知らせる時期なんですね。
というわけで、本日の“旬の花と、花言葉”2月篇は、ぐっと春を引き寄せるお花をピックアップ。優しいそよ風を連想させる“スイートピー”をご紹介します。
毎月好評をいただいている“季節のミニブーケ”のプレゼントもありますので、どうぞ最後までお付き合いください。
アートのような染めの「スイートピー」
ニュアンスのあるピンク色の花びらに、アートのように浮かび上がる美しい花脈。みなさんは“染め”のスイートピーをご存知ですか?
花の収穫後に専用の染料をまぜた水を茎から吸わせる染めの花。時々お花屋さんで見かける、レインボーカラーの不思議な薔薇なども同じ手法でつくられています。
「染めのスイートピーは以前からつくられていましたが、このなんとも言えないニュアンスのある色が出てきたのはここ2、3年です。すごく綺麗ですよね。」と、フローリストの上田みどりさん。
この連載で、いつも素敵なアレンジメントをつくってくださるみどりさんが、エーテルに似合う染めのスイートピーを選んでくれました。
黄色、淡いピンク、グレー。どの色合いも、少しくすんだようなアッシュ系のカラーリングがとてもオシャレ。トーンが変わるだけで、可愛らしい印象のスイートピーがぐっと大人に似合うお花になりますよね。
スイートピーは、イタリアのシチリア島が原産のお花です。19世紀にイギリスで品種改良が進むと、フリルのような花びらや多彩な色が人気に。今では世界に100種以上の品種があると言われています。
ちなみに、日本で最もスイートピーを生産しているのは温暖な気候の宮崎県。オリジナルの品種を生産したり“スイートピーの日”を広めたりと、県を上げてスイートピーの魅力を発信しています。
このスイートピーを愛し世界各国にその魅力を広めたのは、イギリス国王エドワード7世の王妃アレクサンドラだと言われています。自分の身の回りはもちろんのこと、晩餐会やお祝いの式典にはいつもメインフラワーとしてスイートピーを飾らせたそうです。
アレクサンドラ王妃は、デンマーク国王の長女としてイギリスに嫁ぎました。とても美しい王妃として写真や絵画にも残されていますが、浮気性で奔放なエドワード7世に泣かされた人なのだとか。
そんな悲しみを癒すかのように、可憐な色と甘い香りのするスイートピーで宮殿を満たしたと言われているアレクサンドラ王妃。少し寂しいストーリーですが、スイートピーの王妃としてその名が残ることになりました。
この季節にぴったりの花ことば
スイートピーの花言葉は、新年度や新学期に向かう「春」というこれからの季節にぴったりの言葉ばかり。
『門出』『やさしい思い出』『蝶のように飛翔する』
他に『別離』という言葉もありますが、悲しい別れを意味するわけではないようです。新たな旅立ちのための前向きな別れということなのでしょう。
花の色によってもいくつか花言葉がつくられています。
○ピンク色のスイートピー
『繊細』『優美』『恋の楽しみ』
○黄色のスイートピー
『分別』『判断力』
○白色のスイートピー
『ほのかな喜び』
○紫色のスイートピー
『永遠の喜び』
温かくて前向きな花言葉ばかり。花の色をミックスして飾ったりプレゼントしたりする時にも、花言葉を知っているだけで喜びが大きくなりますよね。
大人の門出に贈るフェミニンなブーケ
新年度や新学期へ向かうこれからの季節。スイートピーの花言葉のように、やさしい思い出を胸に、新しい出会いに向けて一歩を踏み出そうとしている方も多いかもしれません。
卒業に部署異動、転職などシーンは様々。みんなが集まる送別会は残念ながら開きにくい状況ですが、お花を贈ることはできますよね。
そこで、「ハナと枝」のフローリストみどりさんに、大人のスイートピーブーケをアレンジしてもらいました。
テーマはずばり、『大人の門出に贈る花』。
今回ご紹介している染めのスイートピーは、ニュアンスのある色合いがとってもシック。グレイトーンの落ち着いた雰囲気なので男性に贈るお花としてもオススメです。
花言葉を一緒に添えてお渡しすれば、メジャーなイメージのスイートピーが、センスと思いやりに溢れた特別なプレゼントに変わるはずです。
“染めのお花”についてのエピソードがあれば、ちょっとした話題にも事欠きません。少々緊張するような相手やシーンにも、まさにぴったりのスイートピーではないでしょうか。
ベッドルームに飾りたい芳醇な香り
蝶のような気品のあるフォルムが美しいスイートピーですが、英名の“Sweet pea”の名の通り、最大の魅力はその甘く柔らかないい香りかもしれません。
スイートピーの王妃と呼ばれたアレクサンドラ王妃も、そのいい香りに魅せられて宮殿をスイートピーで満たしていたはずです。
キツすぎず、甘すぎず、とても爽やか。スイートピーの香りが苦手という人はまずいないはず。春のそよ風に吹かれてこの香りが漂ってくれば、虫でなくとも引き寄せられてしまいます。
ヨーロッパでは、寝室に飾る花とも言われるスイートピー。確かに、この香りに包まれればぐっすりと眠ることができそうです。何より枕元にお花を活けるなんて、とても優雅ですよね。
いい夢が見られそうなこの上品な香りは、香水などフレグランス製品の香料としても用いられています。
色の調合や染め加減など、農家さんのセンスと努力によって日に日に進化している“染めのスイートピー”。
きれいな色の染料によって浮き上がった花びらの花脈は、本物の蝶の模様のようにも見えてきます。染めの花ならではの妖艶な美しさです。花びらを並べてみると蝶の標本のようですよね。
染められたお花は、花瓶の水に染めた色が出てきます。色水のようなきれいな色なのですが、気になる方は色や柄がついた花瓶に活けると良いと思います。
専用の染料があれば自宅でも染めの花をつくることができますので、興味のある方はいろいろなお花で試してみてくださいね。水上げが悪くなる場合もありますが、そこは試行錯誤でチャレンジしてみてください。
季節を呼ぶ“ミニブーケ”をプレゼント!
この連載では、毎月1名様に季節のミニブーケをプレゼントしています!
今回の染めのスイートピーのように、いつも素敵な旬のお花を教えてくれる「ハナと枝」のみどりさんに、瑞々しい旬のお花を選んでもらいますので、どんなブーケが届くかお楽しみに!
みどりさんのセンスが光る美しいブーケが、季節の彩りを連れてきてくれるはずです。ぜひご応募ください!
応募締切:3月2日(火)まで
※応募キャンペーンは締め切らせていただきました。ご参加ありがとうございました。当選者の方には、後日ご記入いただいたメールアドレスにご連絡させていただきます。メールフィルタをご利用されている場合は、[aet.jp]ドメインからのメールを受信できるように設定してください。
【スイートピー】
学名:Lathyrus odoratus
分類:マメ科レンリソウ属
原産地:イタリア・シチリア島
別名:ジャコウレンリソウ(麝香連理草)ジャコウエンドウ(麝香豌豆)カオリエンドウ(香豌豆)
開花期:春~初夏
誕生花:3/20 3/30 6/9
花もち:5日程度