エーテル美術館『瓶の中の花』

皆さまこんにちは。エーテルスタッフの遊佐です。

本日で連載7回目の「エーテル美術館」。花を描いた名画のエピソードのご紹介と、実際にその花を現代の私たちの暮らしになじむようにもっと気軽に、もっとコンパクトに活けてみよう、というコラムです。

今回ご紹介させていただくのはディルク・デ・ブレイ作の『瓶の中の花』。
初夏の花が生き生きと描かれた、今の季節が旬な絵画です。

美術館で過ごすひとときのように、のんびりとご覧になってください。


オランダ黄金期の時代背景

今でこそ自由に見える芸術の世界ですが、ブレイが活躍したオランダ黄金期には、「絵の題材」によってヒエラルキーが決まっていました。

上から、
歴史画(歴史的場面や宗教的象徴を描いた絵画)
肖像画(モナリザのような人物を描いた絵画)
風俗画(人々の日常を描いた絵画)
風景画(景色を描いた絵画)
静物画(花や果物を描いた絵画)
神様や人間が描かれた絵画ほど価値が高いというのが、当時の認識だったのですね。

それでもブレイのように、花の絵画を描く画家が数多くいた理由は、位が低くとも静物画が圧倒的に良く売れたから。
わたしたちだって、もし「桶狭間の戦いの絵」と「花の絵」のどちらを家に飾りたいかと聞かれたら、当然「花の絵」の方を選びますよね。


季節の移ろいを描いた初夏の絵画

ブレイは、必ずその時期の旬の花を使い、自然な季節の移ろいをカンバス上で表現することをモットーにしていました。

ここに描かれているのも、牡丹、アイリス、オダマキ、キショウブ、ヒルガオ…すべて初夏の花。

また、どこか一部に「不完全」さを取り入れることもブレイの特徴です。
この花瓶も、まだ花を活けている途中の1コマ。

先述のように「お金になるから」という少々生々しい時代背景はありますが、この『瓶の中の花』は、画家が生涯を通して追求し続けた「自然な美しさ」や「不完全な美しさ」が非常に良く現れている面白い絵画です。


色を愉しむ ブレイ風ブーケ

今回は、印象的だった「旬の花」というワードにフォーカスして、ブレイ風ブーケを活けてみます。

使用したのは、芍薬、シンビジウム、クレマチス、アルストロメリア、ユーカリ。
初夏が旬な花でまとめました。

ビビッドなピンク、ブルー、グリーン…
ポイントにホワイトカラーを合わせて、今の季節に良く似合う鮮やかなブーケが完成しました。

個人的なお気に入りは、一目惚れで購入した濃いブルーのクレマチス。
「精神の美」の花言葉にふさわしい、凛とした立ち姿が素敵です。

ブレイが描いた牡丹と、今回用意した芍薬。
見た目はほぼ同じですが、牡丹は樹木で、芍薬は草です。

安価で、切り花として気軽に入手しやすいのは芍薬。
香水に使われるほど素晴らしい香りも持っているので、自宅に飾る際は芍薬がおすすめですよ。

ボリューミーな花なので、ブーケにせずとも1~2輪活けるだけでこんなに素敵な雰囲気に。
反対色の花瓶に活けると、鮮やかなピンクがさらに際立ちます。


夏らしい花瓶で遊ぶ

旬の花は、それぞれが生き生きとした美しさを持っているので、小さな花瓶に小分けにして飾っても華やか。
夏らしく、あえてカラフルなものや、少し個性的な形のものを選ぶのも楽しみの一つです。

アルストロメリアは、マットな白い花びらが引き立つように、つややかなピンク色の花瓶に。
クレマチスは、珍しいブルーカラーがさらに魅力的に見えるように、個性的な人型の花瓶に活けました。

ブーケでも、単体でも楽しめるブレイの花々。
皆さまもぜひ、旬の花を楽しんでみてくださいね。


おうち時間のすすめ

近年、著作権の切れた美術品をpublic domain(著作権フリー)で公開する美術館が増えてきています。

今回ご紹介した『瓶の中の花』もその一つ。
この絵を所蔵するアムステルダム国立美術館(ライクスミュージアム)の公式サイトでは、70万点以上のデジタル化作品を無料で閲覧したり、ダウンロードしたりすることができます。

〈アムステルダム国立美術館(ライクスミュージアム)〉の公式サイトはこちら

館内のバーチャルツアー等も無料(!)で実施しているので、一日見ていても飽きません。
ピンタレストのように、気に入った作品を自分のフォルダに集められる機能も斬新。

家でゆっくりと過ごす時間にぴったりなので、ぜひ活用してみてくださいね。

「花と絵画」、次回の更新は6月半ば頃を予定しています。 美術館に遊びに行くような気軽な気持ちで、ぜひまたご覧ください。

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