5月の花「バラ」|季節のブーケプレゼント

みなさん、こんにちは。

気持ちのいい風が吹く新緑の季節のはずが、早くも梅雨入りの知らせが。年々、春が短くなっていくような、大きな気候の変化を感じずにはいられませんね。

花たちが咲く季節や場所も変わってしまうのだろうかと、雨空に向かって伸びる若葉たちを眺めています。

さて、本日の“旬の花と、花言葉”5月篇は、花の女王“バラ”を取り上げてみたいと思います。ちょうど5月頃から咲き始めるバラは、庭木としても人気です。花の女王だけにエピソードも盛りだくさん。

毎月好評の“季節のミニブーケ”のプレゼントもありますので、どうぞ最後までお付き合いください。


人を惹きつけて離さない「バラ」の魅力

遡ること紀元前2000年頃。当時、すでに栽培されていたといわれているバラ。ギリシャ神話の美と愛の女神アフロディテの誕生を祝うために、オリンポスの神々が創造したともいわれています。

花弁の数、花のカタチ、樹形など、ひと口にバラと言っても印象は様々。花の女王の名にふさわしく、バラは世界中に愛好家がいる「愛」のかたまりのような花です。

フランスの皇帝ナポレオンの最初の妻、ジョセフィーヌ・ド・ボアルネが愛した花としても有名ですよね。自由奔放で浪費家でもあったジョセフィーヌは、世界中から大好きなバラを蒐集し城にバラ園を作らせました。約10年間の間に集めたバラは250種以上もあったとか。

世界中のバラが咲くジョセフィーヌの庭では、自然交配によって新たな品種が生まれ、それが今日のモダンローズへと繋がります。ジョセフィーヌが「近代バラの毋」と呼ばれていることも納得です。

長い歴史の中でジョセフィーヌの庭園は失われてしまいますが、現在は城もお庭も当時の姿に復元され一般公開されています。コロナ後の旅のリストに入れておきたいですね。

ちなみに、そのジョセフィーヌの名前を冠した「エンプレス・ジョセフィーヌ」という薔薇も存在します。華やかなドレスを想わせる美しいピンク色の大輪のバラです。

歴代の女王や皇后、人気の画家や詩人など、薔薇の名前にはこの花に惹きつけられた人たちのたくさんのストーリーが込められていて、知ればしるほどバラを好きになってしまいそうです。

花の名前と同様に、バラには花言葉もたくさんあります。

メインの花言葉は『愛と美』。

ドーンと、インパクトのある二文字。あまりにもストレートなワードを二つも重ねてしまうあたり、さすがは女王様です。

さらに、色ごとの花言葉も豊富です。

赤いバラ:『情熱』

ピンクのバラ:『上品』『感銘』

白のバラ:『純潔』『深い尊敬』

黄色のバラ:『嫉妬』『友情』

緑色のバラ:『穏やか』

バラを贈り物に選ぶ時には、花言葉だけではなく、バラの名前にまつわるストーリーを添えてみるのも素敵かもしれません。



日本の美意識を咲かせる「和ばら」

このコンテンツ“旬の花と、花言葉”で美しいお花を選んでくださっている「ハナと枝」のフローリストみどりさん。今回は、とても素敵な「和ばら」の存在を教えてくれました。

「滋賀県にある國枝啓司さんのファームで作られている“和ばら”というオリジナルのバラがとても素敵なんですよ」と、みどりさん。

ロゼワインのような、まさにロゼ(ばら)色のスプレー咲きの小ぶりな和ばらは、「和花(わか)」という名前のお花です。

咲いた姿がまるで椿のようで、とても趣があります。はらりはらりと落ちていく花びらまで愛おしい、散り際を見つめていたくなるそんな新しいバラ。

和ばらのコンセプトは、“日本の文化・美意識を反映した草花のようなばら”。

“心ときめく、ばらを生み出そう”というメッセージのもと、2006年から約10年をかけて全てオリジナルの品種「和ばら」を栽培されているそうです。

WABARA online store

https://www.wabararose.com/

「咲いた姿がとっても綺麗ですよ!」と、みどりさんが選んでくれたもう一輪が、特別な和ばら「シャルロット・ペリアン」です。

上質な絹の布肌のようにさりげなく光を反射する上品なベージュ色のバラ。ばら作家の國枝啓司さんが、現在までの最高傑作と表している花だけあって、簡単には表現できないほど、色、カタチ、香り、すべてにおいて美しいバラです。

この特別な和ばらは、フランスの有名な建築家でありデザイナーの「シャルロット・ペリアン」に捧げるバラとして作られました。

建築界の巨匠ル・コルビュジエのアトリエで、建築や家具、インテリアをデザインしたシャルロット・ペリアン。彼女がデザインに加わったLC4やLC2と呼ばれる椅子は世界でも有名な家具のひとつです。


ル・コルビュジエのアトリエの同僚で日本人の建築家「坂倉準三」の推薦で、海外向けの工芸品の指導を任され来日した際には、日本のプロダクトデザイナーである「柳宗理」とともに日本全国をまわるなど、日本に大変ゆかりのある女性です。

才能に満ち溢れながらも名声にはさほど興味がなかったのだというシャルロット・ペリアン。彼女へのオマージュとしてつくられた特別な和ばらは、まさにそんな彼女の魅力を表現していると言えます。

ハイセンスなニュアンスカラー、芍薬のような優美なフォルム、そして日に日に変化する奥深い香り。シャルロット・ペリアンの作品と合わせて味わいたい、そんな特別なバラです。


バラを愛し、バラと眠る詩人。

最後に、バラに魅せられ、バラの魅力をたくさんの言葉として残したプラハ生まれの詩人「ライナー・マリア・リルケ」のお話を少しだけ。

ナポレオンの皇后ジョセフィーヌをはじめ、多くの画家や詩人がバラに心を奪われ、バラは世界中で様々なシンボルとなり、人々は香水に酔いました。

詩人のリルケもその一人。バラを溺愛し、モチーフにした美しい詩をそれこそ詩集でバラ園ができてしまうのではと思うほど残しました。

彼の何が特別なのかというと、それは彼の最後にまつわる伝説にあります。

ある日、自分の庭のバラを摘んでいたリルケは、バラの棘を指に刺してしまい、それが原因で亡くなってしまいました。死を悟った彼は、生前に書いた短いバラの詩を墓碑に刻むように言い遺したと言います。

ばらよ、おお 純粋な矛盾、

おびただしい瞼の奥で、

だれの眠りでもないという よろこび

(リルケ詩集 神品芳夫 編・訳 小沢書店)

晩年のリルケは白血病を患っていたとも言われていて、バラの棘が原因であるというのは伝説の域を出ないのですが、バラへの偏愛と墓碑に刻んだ辞世の詩がそんな伝説を今に伝えているんでしょうね。

バラにたくさんの品種があるように、そのエピソードもまたたくさん存在しています。窓辺に飾るだけで、ふっと違う時間へ誘ってくれる美しいバラ。

これからとても美しい季節になりますので、どうぞ、いろいろな種類を手にとって、色やカタチ、香りを楽しんでみてくださいね。


季節を呼ぶ“ミニブーケ”をプレゼント!

母の日に贈るカーネーション

この連載では、毎月1名様に季節のミニブーケをプレゼントしています!

いつも素敵な旬のお花を教えてくれる「ハナと枝」のみどりさんに、瑞々しい旬のお花を選んでもらいますので、どんなブーケが届くかお楽しみに!

今回の和ばらのように、みどりさんの審美眼で美しい季節の彩りを連れてきてくれるはずです。ぜひご応募ください!

応募締切:6月1日(火)まで

※今月の応募キャンペーンは締め切らせていただきました。ご参加ありがとうございました。当選者の方には、後日ご記入いただいたメールアドレスにご連絡させていただきます。メールフィルタをご利用されている場合は、[aet.jp]ドメインからのメールを受信できるように設定してください。

ハナと枝さんのHPはこちらをタップ

【バラ】
学名:Rosaceae Rosa
分類:バラ科 バラ属
原産地:北半球の温帯域
別名:ソウビ・ショウビ(薔薇)
開花期:初夏から初冬にかけて
誕生花:1/12(黄)2/25(ムスクローズ)7/4 9/26 12/11(白)
花もち:5日〜7日

エーテル美術館『瓶の中の花』

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