エーテル美術館『花瓶(ピンクの背景)』

花とエーテル

皆さまこんにちは。エーテルスタッフの遊佐です。

本日で連載3回目の「エーテル美術館」。花を描いた名画のエピソードのご紹介と、実際にその花を現代の私たちの暮らしになじむようにもっと気軽に、もっとコンパクトに活けてみよう、というコラムです。

今回ご紹介させていただくのはオディロン・ルドン作の『花瓶(ピンクの背景)』。
画家の幸せな気持ちがひしひしと伝わるような、暖かみのあふれる絵画です。

美術館で過ごすひとときのように、のんびりとご覧になってください。


時代の異端児 遅咲きの象徴画家

人生をグラフにすると、きっと山あり谷あり。思い返せば苦難の連続で…ずっと上がり調子の人なんていませんよね。

それは私たち一般人も、華々しく見える芸術家も同じ。
ルドンの人生を紐解くと、画風から人生の山と谷が著明にわかります。

建築家になるという夢に破れ、30代後半~40歳ごろから画家としての道を歩み始めた遅咲きの芸術家、ルドン。
不思議な画風と時代背景が相まって『孤高の画家』とも呼ばれています。

ルドンが活躍したのは、前回ご紹介したルノワールのような印象派が一世を風靡していた時代。
そんな中、彼の画風は怪物や動植物などを木炭でモノクロに描く不思議なものでした。

華やかな印象派とは何もかもが正反対…。
当時はその不気味さから多くの批判が集まりますが、これらは象徴主義(想像や精神世界など、自己の内面を描く芸術)としての先駆けであり、のちに「シュルレアリスム」と呼ばれる芸術運動にも大きな影響を与えました。


画風から紐解く、人生の山と谷

エーテル美術館_ルドンの花瓶

不安を掻き立てるモノクロの木炭画。この絵を描いたのはどんな人物なのかーー
展覧会に出品された作品を見て、誰もが作者本人もさぞかし変わった人物なのだろうと噂しました。

しかし、実際のルドンは大変な愛妻家で、子煩悩。
孤独な幼少期を過ごしたことや、長男が生後半年で亡くなってしまったことから初期作品は暗いものでしたが、待望の次男が生まれてからは一転します。

こちらの絵画は、晩年に描かれた『花瓶(ピンクの背景)』。
同じ画家の作品とは思えないほど、多彩で暖かく、優しい画風に変わっています。

愛する妻と息子に囲まれ、まさに幸せの絶頂。そんなルドンの内面を象徴するかのようです。
人生の谷の部分では暗く、山の部分では明るく…批判にも屈せず、ただ淡々と「自己の内面」を描き続けた姿は、まさに象徴主義の父と言えます。


ときめきのルドン風ブーケ

ルドンが好んで描いたのはポピーやマーガレットなどの素朴な花。
また、新しいものをどんどん取り入れるよりも、気に入ったものを長く使う性格だったらしく、同じ花瓶を用いた別の作品が複数残されています。

素朴な花と、使いまわしの花瓶。
どことなく庶民的なルドンの描く花は、現代の私たちの生活にもしっくりと馴染みます。

ルドン風ブーケのポイントは、象徴主義のように「自分の内面に誠実でいる」こと。
難しく考えず、好きな花、色、形、自分の心がときめくものだけを集めて花束にします。

今回メインに用意したのは、自分の誕生花のリコリスと、一目惚れした青みの強いローズマリー。
一緒に活けたグリーンや季節の花(ジニア)のおかげで、素朴な雰囲気は残しつつも窓辺がふわっと華やぐブーケが完成しました。

人の目を気にしない、私だけのオリジナル。
そんな心理的な贅沢さを味わえるのが、ルドン風ブーケの醍醐味です!

しばらくブーケを楽しんだ後は、思い切って小分けにしてみるのも。
お気に入りの花をちりばめたら、見慣れた部屋も優しい癒し空間になりますね。

花瓶は、花の重みに耐えられるものであれば空の瓶や容器で大丈夫。
先日、友人が使い終わったポール&ジョーのプライマーの瓶を花瓶にしているのを見て、その発想に感動しました。

今回私が花瓶として使ったものは、きれいな色のドリンクの空き瓶と、飲み口が欠けてしまったけれど捨てるのも惜しくて取っておいたイッタラのグラス。

窓のそばに置くと、色ガラスの影が優しく伸びてくる様子も楽しめます。

どちらも本来の用途としての役割は終えたものですが、まだこんなに素敵な活用法がありました。


家でもアートを楽しむ

近年、著作権の切れた美術品をpublic domain(著作権フリー)で公開する美術館が増えてきています。

今回ご紹介した『花瓶(ピンクの背景)』もその一つ。
この絵を所蔵するメトロポリタン美術館の公式サイトでは、37万点以上の作品を無料で閲覧、ダウンロードすることができます。

https://www.metmuseum.org/

絵画だけでなく、花瓶や宝石など様々なジャンルの芸術品を見ることができます。家でゆっくりと過ごす時間にもぴったりなので、ぜひ活用してみてくださいね。

「花と絵画」、次回の更新は11月上旬頃を予定しています。
美術館に遊びに行くような気軽な気持ちで、ぜひまたご覧ください。

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