パイソンレザーの種類と特徴と魅力について
今回は、エキゾチックレザーの中でも、ソフトな感触を持ち、様々な表現が可能となる多面性を持ちわせた、パイソン革の特徴と魅力をご紹介していきます。エキゾチックレザーの中でも、クロコダイルに次ぐ高級革として有名なパイソン。柔らかくて繊細なうろこは、ラグジュアリーな雰囲気が漂います。
そのパイソンには様々な種類があるのをご存知ですか?今日は奥深いパイソンの世界をご紹介いたします。
パイソンレザー(蛇革)の種類と特徴について
エキゾチックレザーの代表格であるクロコダイル・リザード(トカゲ)などに比べて、ヘビ革の種は数多くあります。
ヘビ革は大きく分けて、小さな類(全長1m前後)のスネークと今回ご紹介する大きな類(全長2m~4m前後)のパイソンからなります。
- スネーク
- 水蛇
- コブラ
- パイソン
- ダイヤモンドパイソン
- モラレスパイソン
- レッドパイソン
革としてはパイソン革の流通が多く人気があります。その中でも人気の3種類を画像と交えてご説明していきましょう。
ダイヤモンドパイソン:アミメニシキヘビ
日本国内で、最も流通量が多いのがダイヤモンドパイソン。全身にダイヤ型の連続的な斑紋(はんもん)模様があるところから、ダイヤモンドパイソンと呼ばれています。生息地は、タイ、ミャンマー、ベトナム、カンボジア、マレー半島、インドネシア、フィリピン、中国南部等、アジアの熱帯地方に広く分布。体長は10mにもなり、丈夫な皮質と美しさを兼ね備えています。一見すると、同じように見えるダイヤ型の模様も、じっくり見比べると形状や大きさも一枚一枚が異なり、同じ柄模様を牛革などにプリントして作られるパイソン型押し革にはない、まさに「唯一無二」の個性的な存在感を持ち合わせています。
モラレスパイソン:ビルマニシキヘビ
モラレスパイソンは、ビルマニシキヘビ・インドニシキヘビを加工した革。全身に、連続的な模様が連なるダイヤモンドパイソンとは異なり、不規則な石垣上の図形模様があります。その個性的な斑紋模様が、日本やヨーロッパのファッション界で人気な蛇革。 生息地は、アジア熱帯地方に分布していて、体長は5~7mと大きめで、一般的にオス蛇よりメス蛇の方が大きいと言われています。また、革の丈夫さから汎用性が高く、バッグ、靴、ベルト等のレザーアイテムに幅広く使用されています。ちなみに、沖縄の「三線」はこのモラレスパイソンの革が使用されています。
レッドパイソン:ヒイロニシキヘビ
レッドパイソンは尾部が短く胴が太い体系をしており、ショートテールパイソンとも言われています。全長は1m~2mで、ダイヤモンドパイソンの約半分くらいの長さ。身体全体が赤味を帯びているところから、緋色(ヒイロ)ニシキヘビと呼ばれています。レッドパイソン=「赤色」だけのパイソンという訳ではなく、さまざまなカラーに染色が可能。この種のパイソンも独特な斑紋模様を持ってはいますが、あまり美しいとは言えません。そのため国内では、模様を脱色した仕上げがほとんど。ヒイロニシキヘビは他のニシキヘビよりも水辺を好むこともあり、生息地は、マレー半島、スマトラ、ボルネオ島などがあげられます。
模様を生かすは鞣(なめ)しで決まる
ダイヤモンドパイソン、モラレスパイソンの独特な柄模様もなめし・仕上げにおいては、この特徴である模様を活かす場合と、模様を薬品処理により除去してウロコのみを活かす場合があります。これはパイソンの種類やその時々のトレンド・ブランドのコンセプトなどにより異なります。どちらが良い悪いと優劣をつけるものではありません。
独特な模様だけではないパイソン革の特徴と加工方法とは?
パイソン革の特徴と言えば、その個性的なウロコ模様と存在感に目がいきがちですが、他のエキゾチックレザーにはないヘビ革ならではの、多彩な表情と独特のしなやかさという魅力も兼ね備えています。
パイソン革の代表的な仕上げ方法には、光沢感(ツヤ)のあるグレージング仕上げと、光沢を抑えソフト感を重視したマット仕上げがあります。
どちらの仕上げ方もパイソンの持つ表情や特徴を損なうことはありませんが、使っていくうちに自分の手のオイルをすって光沢感が出てくる経年変化を楽しむ上では、マット加工が人気といえます。また、最近ではマット仕上げの表面を擦ったり、メタリック・アンティーク・プリントなどの特殊加工を施した仕上げも数多く出回るようになり、注目を集めています。
そして皆さんにお伝えしたいパイソンマット仕上げの特筆すべき点は、ソフトな肌さわりと柔軟性。手に馴染むしっとりとした感触は、他の皮革では味わえないパイソン特有の質感なのです。
このソフトな質感とデザイン性が相まって、ヨーロッパのハイブランドでもパイソン革が多く採用され、注目を集めています。同じエキゾチックレザーの中でも人気を二分する、クロコダイルマット革との大きな違いもソフトな革の質感が上げられます。このしなやかな柔らかさが、クロコダイルでは表現できない「デザインの幅」を広げてくれるのです。
例えば、クロコは力強く、直線的でシャープなデザインに向いていますが、パイソンは丸味を帯びた曲線的で女性らしいデザインが可能。また、クロコにはない、ウロコの先端部の「突起」や「ウロコ同士の重なり」がみられ、その奥行きが繊細な印象を与えます。
そして絶対的な違いは、何と言っても軽量であること。この軽さはクロコダイルは持ち合わせていません。
カットの仕方で印象が変わる
パイソン革のカッティングには2つのタイプがあり、見た目の印象も変わってきます。腹部をカットし背部を活かしたものを「フロントカット」(腹割り)。逆に背中をカットし腹部を利用するものを「バックカット」(背割り)といいます。ダイヤモンドパイソン、モラレスパイソンはフロントカット・バックカットの2タイプとも利用されますが、レッドパイソンは、その特徴でもある、腹部中央の大きな蛇腹(じゃばら)を活かしたバックカット(背割り)が主流となっています。
まとめ
奥深いパイソンの世界、いかがでしたか?
種類もありますし、なめし方や加工方法、カッティングの仕方で見え方が全く違う蛇革。繊細で軽い質感だけど、丈夫な性質は大変魅力的です。みなさんも是非、パイソンの革製品に出逢ったら触れてみてください!その柔らかさと軽さに感動するはずです。