こんにちは!
エーテルスタッフの真田です。
暖かい日が続いたと思えば、寒い日に逆戻り..そんな日が続いていますが、体調お変わりないでしょうか?
関東では桜が見頃を迎えています。桜が散れば、いよいよ夏..!
とその前に、春と夏をつなげる季節「梅雨」がやってきますね。
梅雨の時期は外に出かけるのが億劫になる方も多いかもしれません。
でも、この時期にしか楽しめない美しさがあることもまた然り。
とくに梅雨に咲く紫陽花は、雨に濡れるとより一層あざやかさが引き立ちます。
今日はその紫陽花をモチーフにした新革のお披露目です。
二年かけて開発してきたオリジナルレザーの裏話を、たっぷりご紹介します。
梅雨に美しさを増すアジサイ
初夏を連れてくる梅雨の風景に、存在感を増す「紫陽花」。
雨露に艶めく紫陽花を見ると、シトシト..という雨音や、独特の香り、雨の色がジュワッと街中に広がるような特有の色彩など、この季節だけの美しさが想起されますよね。
紫陽花をモチーフにしようと決めたのには様々な理由がありましたが、もっとも重要だったのは梅雨の季節が愛おしくなるような、そんな製品を作りたかったから。
母の日にもふさわしい花
ブルーからピンクに移りゆくライラックの色彩が、なんとも情緒的な紫陽花。雨露を浴びた色彩は、より一層美しく、 「移り気」「無常」などの花言葉からも、その儚さを連想させます。
一方で、「家族団らん」や「仲良し」などの花言葉もあり、最近では母の日に贈る方も増えているんだとか。
また、紫陽花には色ごとの花言葉もあります。
ブルー「辛抱強い愛情」
ピンク「元気な女性」
ホワイト「寛容」
まさに母の日に贈るにはぴったりな花ですね。
季節の風景を色彩に映す
ブルーやパープル、ピンクなどさまざまな色彩が混じり合う紫陽花の色。この色彩は土の酸性度によって変化するので、ざっくり言うと土壌が酸性だと青に、中性だと紫に、アルカリ性だと赤い紫陽花になります。
こういった性質から、土壌によって、同じ花びらの中に様々な色が溶け合うように共存するのがこの花の魅力。
その溶け合うような色彩を表現するために、オイルアート(フルイッドアート)を参考に色出しを行いました。
溶け合う色彩が、雨粒によって広がる情景
オイルアートとは、液体の流動性で描く画法のこと。
自分の思い描く線ではなく、アルコールインクが自然に流れるままに描かれるので、思いがけない色の広がりや滲みが重なっていきます。
ジュワッと艶めく色彩を革の上で表現
このオイルアートを参考に、紫陽花特有のジュワッと滲むような色出しを試行錯誤しました。
何工程もかけて辿り着いたのが以下の染め方です。
1.なめした革に、染料が綺麗に出るように下地をホワイトに染色
2.花びらの型押しをし、ベースのパープリッシュブルーを染める
3.そのブルーの上に特殊な薬品を塗布し、意図しないジュワッとした滲みをあえて作る
4.花びらのピンクとスカイブルーをそれぞれ染色
5.最後にエナメルがけをすることで、雨粒のような艶めきを表現
色の組み合わせや滲み具合を試行錯誤した結果、少し切ないようなニュアンスカラーに可愛らしいピンクを挿すことで、エーテルらしいカラーリングになりました。
雨粒を浴びた花びらのようなしっとり感を目指して
色づくりと同じくらい時間がかかったのが型作り。
彫りの深さや線の太さが全て同じだと、柄の空間や質感が単調に見えてしまいます。
深く彫りところ、浅く彫りところを分けて、花びらに雨粒がたまって艶めく様子や、
紫陽花の花びらのしなやかなボリューム感が出せるよう、何度も描き直し、彫り直し、ようやく納得いく型が出来上がりました。
こうしてできた新革は、紫陽花の色彩と雨粒の艶めきにフォーカスされ、今までにない表現ができたと思います。
さて、新革の制作秘話をご紹介しましたがいかがでしたか?
私自身、元々梅雨の時期が好きではありませんでしたが、去年、お気に入りのレインブーツを見つけてから梅雨に対する気持ちが変わりました。
レインブーツとバミューダーパンツを合わせたら可愛いだろうな、なんて考えていると、憂鬱だった雨の日が待ち遠しくなったりして。
そうすると、朝起きて、窓の外の雨を見ながら飲むコーヒーが贅沢に思えたり、雨露でつやめく道端の花が、一層美しく感じられるから不思議。
“この季節が待ち遠しくなるようなアイテムを、私たちも作りたい”
そんな想いからこの「オルテンシア」の制作は始まりました。
エーテルの製品も、この季節にしか味わえない美しさや前向きな気持ちを届けられたら最高だなと思っています。
この「オルテンシア」を持つ方のおうち時間やお出かけが、特別なものになりますように。