雨の雫をジュエリーのようにまとい、艶めきを増す紫陽花。花びらと萼（ガク）の凹凸を繊細に彫り分け、花びらに溜まる雨粒の輝きを型押しのエナメルレザーで表現しました。自然な花の姿にモチーフに、彫りの深さや線の太さの強弱を何度も描き直し、彫り直し、２年間もの月日を経てようやく花びらのしなやかさとボリュームを感じる、納得のいくオリジナルレザーが仕上がりました。

雨に滲む水彩画のように
繊細な色を革の上で表現

ブルーやパープル、ピンクなど様々な色が混じり合う紫陽花。型押しの型作りと同じように染色にもこだわり、紫陽花の溶け合うような色彩を表現するため、オイルアート（液体の流動性で描く画法）を参考にオリジナルの色をつくり出していきました。

いくつもの工程を経てたどり着いたのが以下の染め方です。

1.染料が綺麗に発色するようにベースの革をホワイトに染める
2.花びらの型押しを施し最初の色パープリッシュブルーを染める
3.その上に特殊な薬品を塗布し、あえてジュワッとしたランダムに滲ませる
4.花びらのピンクとスカイブルーをそれぞれ染める
5.最後にエナメルがけをすることで、雨粒のような艶めきを表現

こうしてできた「オルテンシア」。紫陽花の色彩と雨粒の艶めきにフォーカスした、今までにない表現のレザーです。